大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和38(さ)10 判決

主 文

昭和三一年九月二〇日附の略式命令を破棄する。

右略式命令記載の犯罪事実について被告人を免訴する。

理 由

検事総長清原邦一の非常上告について。

関係記録を調査すると、被告人は法令に定められた運転の資格を持たないで昭和

三一年六月一一日午后〇時四〇分頃津島市ab丁目地内道路において軽自動車を運

転して無謀な操縦をしたとの犯罪事実について、同年七月一三日愛知中村簡易裁判

所に対し公訴提起と同時に略式命令を請求され、同裁判所は同年八月一日右事実に

ついて道路交通取締法違反として被告人を罰金二千円に処し、右罰金を完納できな

いときはその分について金百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置すると

の略式命令をなし、この裁判は同年八月一九日確定した。

ところが、右略式命令確定後である同年八月三一日更に被告人は、法令に定めら

れた運転の資格を持たないで昭和三一年六月一一日午后〇時四〇分頃津島市ab丁

目c番地先道路において軽自動車愛A号を運転して無謀な操縦をしたとの犯罪事実

について同裁判所に公訴の提起と共に略式命令の請求がなされ、同裁判所は同年九

月二〇日再び道路交通取締法違反として被告人を罰金四千円に処し、換刑処分は前

同様とする略式命令をなし、この裁判は同年一〇月一六日に確定した事実が認めら

れる。

さすれば、後の起訴を受けた愛知中村簡易裁判所は、既に同一公訴事実について

確定の略式命令があつたのであるから、右起訴にかかる公訴事実については本来刑

訴三三七条一号に則り判決で免訴の言渡をすべきであつた。然るに同裁判所におい

て更に略式命令をなしたため、同一犯罪事実について相前後して二個の略式命令が

なされ、それぞれ確定するに至つたわけである。即ち後になされた略式命令は明ら

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かに違法なものであるから本件非常上告は理由がある。

よつて、裁判官全員一致の意見で、刑訴四五八条一号により昭和三一年九月二〇

日附略式命令を破棄し、同法三三七条一号に則り免訴の言渡をなすべきものとし、

主文のとおり判決する。

検察官 高木一関与

昭和三九年二月四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

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